134.「子どもが練習したがらない時、知っておいてほしいこと。」2026年2月号
135.「上達を支える心の育て方。結果ではなく過程を。」2026年3月号
136.「練習すると、いいことが起こる。」2026年4月号
137.「客観と主観のあいだで、育っていくピアノ。」2026年5月号
138.「『言われたから』ではなく『見つけたから』」2026年6月号
「子どもが練習したがらない時、知っておいてほしいこと。」2026年2月号
子どもが練習をしたがらなくなると、周りの大人は戸惑ってしまいますね。「練習しなさい」と声をかけたり、時には叱ったりすることもあると思います。けれども練習しない背景には、たいてい何かしらの理由があります。
たとえば、「分からない」ということもあります。楽譜が読めない、どう弾くのか分からない、あるいは、何をどう練習すればいいのか分からないという場合です。分からないことは出来ないし、当然楽しくありませんから、やりたい気持ちがなくなってしまうのは自然なことですね。
「疲れている」という場合もあります。ピアノは、頭も身体も心も使う、エネルギーのいる活動ですから、学校や習い事などで疲れていると、弾く気力が湧かないこともあるでしょう。
「他にもっとやりたいことがある」という場合もあります。ピアノ以外に楽しいことが見つかるのは、ごく自然な成長の一部で、それは必ずしもピアノが嫌いになったということではありません。
また、「やらされている感覚が嫌」という場合もあります。たとえ子どもであっても、コントロールされるばかりでは心地よくはありません。自分の気持ちや意見が入る余地がないと、次第に嫌になってしまうこともありますね。
いずれにしても、「練習しない」という行動は、子どもからの何らかのサインであることが多いと思います。その気持ちを受け止めることで、状況が少しずつ改善していくことも少なくありません。
やりたくない気持ちはそのまま受けとめながら、どうしたら出来るようになるのか、どんなやり方なら続けられそうかを一緒に考えていくことで、ピアノとのより良い関わり方を育てていけたら良いですね。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てていきましょう!(^^)!
「上達を支える心の育て方。結果ではなく過程を。」2026年3月号
ピアノの上達というと、どうしても才能や向き不向きに目が向きがちです。けれどもレッスンをしていると、実はそれ以上に「気持ちの持ち方」が大きく関わっていると感じます。
ちょっと集中すればできそうなのに、「できない」「ムリ」と言う子どもは少なくありません。もちろん本当に難しい場合もありますが、技術の問題というよりも、自分にはできないと思い込んでしまっていることが原因のように感じることもあります。そういう思い込みの後ろには、出来なかった時に自分を守ろうとする気持ちや、本当は上手になりたい気持ちも隠れていますね。
もちろん、プロのピアニストを目指すような世界では、才能も大きな要素になります。けれども一般的に「ピアノが弾ける」と言えるレベルまで上達するためには、才能以上に、「やってみよう」と思える気持ちが大切です。
では、その気持ちはどうしたら育つのでしょうか。その鍵の一つが、成功体験を積み重ねることだと思います。発表会のような舞台はその大きな機会になり得ますが、もっと大切なのは、毎日の練習の中にある小さな成功体験だと思います。「言われた所に気をつけて弾けた」とか「ちょっと集中して練習した」とか、そんな小さな一歩が、「自分にもできるかもしれない」という感覚を育てていくのですね。
つまり大切なのは、「全てが上手くできたかどうか」という結果だけを見るのではなく、その過程に目を向けて、その中に小さな「できた」を見つけることなのだと思います。結果というのは全てを自分でコントロールできるものではありませんが、小さな一歩はちょっとした意識の持ち方で、コントロールできることが多いです。「いつもよりちょっとがんばったら、これができた」という経験が積み重なることで、「やってみよう」という意識が少しずつ育っていくと思うのですね。
ピアノの練習は、ただ技術を身につける時間ではなく、「できるかもしれない」と思える心を育てる時間でもあります。結果だけでなく、プロセスにも目を向けながら練習することで、少しずつ自信を育てていけたらいいですね。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てていきましょう!(^^)!
「練習すると、いいことが起こる。」2026年4月号
毎日練習した方が良いと頭では分かっていても、なかなか行動に移せないというのはありがちなことですね。「練習すれば上達する」と理解していても、それは実感としてはつかみにくい感覚です。特に子どもにとっては、「そのうち上手になるよ」という未来のご褒美よりも、もっと具体的で今すぐ感じられる「いいこと」が必要なのですね。
では、そんな「いいこと」はどうしたら得られるのでしょうか。
ひとつは、小さな成功体験を、きちんと「成功体験」として意識させてあげることです。例えば自分では気づかずに通り過ぎてしまいそうな「できた瞬間」を、「ここ、今とても良かったね」と、言葉にして伝えてあげる。そうすることで、その出来事は強く印象に残って「できた」という実感へと変わります。
また、思うように弾けなかったときでも、練習したこと自体を認めてあげることも大切です。「ちゃんと練習してきたね」と声をかけてもらうことは、それだけでも子どもにとって「いいことがあった」という経験になりますね。
こうした小さな体験が少しずつ積み重なっていくことで、「練習すると、いいことが起こる」という感覚が自然と育っていきます。そしてその感覚が、「もっとやりたい」「もっとがんばりたい」という、次の意欲を生み出していくのだと思います。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てていきましょう!(^^)!
「客観と主観のあいだで、育っていくピアノ。」2026年5月号
ピアノを習うとき、「上手になる」というのは大きな目標のひとつです。では「上手」とはどういうことかといえば、リズムが安定していること、音の粒がそろっていること、フレーズが自然に流れていることなど、ある程度客観的にとらえられる基準のようなものがあります。そうした基準に近づいていくことで、まわりから評価されたり、自分でも上達を実感することができるのですね。
けれども一方で、ミスの多い演奏に心を動かされることもあります。そこには、点数では測りきれない、その人ならではの表現があるのかもしれません。自分の中で感じ取り、形にしようとした表現には、たとえ未熟であっても人に訴えかける力があるのだと思います。
ですから大切なのは、人からの評価だけに頼るのではなく、自分自身の納得感を大事にすることではないかと思います。きれいな音が出せたと感じたときや、昨日よりも音楽のイメージが鮮明になったとき、自分の表現に手応えを感じられたとき。そうした瞬間の中に、音楽をする喜びがあるのですよね。
とはいえ、自分さえよければいいと思って客観的な基準を無視してしまうと、聴く人に伝わる演奏にはなりにくくなりますし、結果として自分でも満足しづらくなったりもします。
外からの評価としての「上手」という基準を目標としながら、自分自身の納得感をエネルギーにして進んでいけたらいいですね。その両方のバランスを取って大切にすることで、ピアノはより豊かで楽しいものになるのではないかと思います。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てていきましょう!(^^)!
「『言われたから』ではなく『見つけたから』」2026年6月号
クラシック音楽には、一般的な美の基準のようなものがあります。レッスンは、その美しさを伝える場でもあるので、楽譜に書かれているスラーやスタッカート、強弱、速度、そしてそれらを実現するための指使いや身体の使い方などについてお話しすることがあります。
けれども、まだクラシックの美意識が育っている途中にそう言われると、「ちゃんと弾けたのにダメって言われた…」と少し嫌な気持ちになるのも、とても自然なことだと思います。
ここで大切なのは、一方的に「こうしなさい」と言うことではないのだろうなと思います。
もちろん、言われたことを受け入れることで上手になれると最初から理解している子どももいますし、しぶしぶ受け入れながら育っていく美意識もあります。けれども全くそれだけになってしまうと、周りからは評価されても、自分ではあまり楽しくないということにもなりかねませんね。
そもそも美の基準というのは、ただの多数決ではなく、人が自然に「心地良い」「きれいだ」と感じる傾向のようなものなのかもしれません。ですから自分で色々試してみながら、「なるほど、こうした方がきれいなのか」と感じる経験が大切なのだと思います。
自分の納得感と美の基準が近づいていくのは、もしかしたら「言われた通りにした時」ではなく、「自分で発見した時」なのかもしれません。
「なぜ人はこれを美しいと感じるのだろう?」「私はどう弾きたいのだろう?」その二つの問いを持ち続けていくことが、美意識を育てていくことなのかもしれないと思います。そんな試行錯誤を、大切にしていきたいですね。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てていきましょう!(^^)!