練習する子の育て方2020年

毎月教室で発行しているNews Letterに掲載しているコラムのうち、2020年の分をこちらにも掲載いたします。

2015年8月の掲載開始時より2019年までのコラムは、こちらに掲載しております。

 

【目次】

53.「この教室の発表会は、生徒さんたちを励ます場です。」2020年1月号

54.「自分には出来るという意識を作るために、出来ている所を伝えよう。」2020年2月号

55.「その子にとって心地よいピアノとの付き合い方。」2020年3月号

56.「困難な時でも人生を楽しむ力」2020年4月号

57.「今だから出来ることに目を向けて成長を続ける意欲」2020年5月号

58.「その子をかわいいと感じ続けていること」2020年6月号

59.「弾きにくい所は、レッスンでどんどん質問しましょう」2020年7月号

60.「全力で取り組むことも力を抜くことも、素晴らしい。」2020年8月号

「この教室の発表会は、生徒さんたちを励ます場です。」2020年1月号

この教室の発表会は、生徒さんたちを励ます場になることを考えて行っています。発表会で演奏することで、「自分がピアノを弾くことを喜んでもらえている」「がんばっていることを認めてもらえている」と感じられる場であったらよいなと思います。

まだピアノを始めて間もない子どもにとっては、お辞儀をすることや、知っているメロディーをちょっと弾いてみることだけでも、大きなチャレンジかもしれません。時には、緊張したり難しい曲を選びすぎたりして、上手く弾けないこともあるかもしれません。でもそういう一つ一つを、その子の成長の過程として、微笑ましく感じることのできる場でありたいと思います。

もちろん少し弾けるようになってくれば、素敵な演奏をして「自分の演奏で感動してもらえる」と感じられることが、とても嬉しい励みになりますね。そういう体験がどんどん出来るようになるためにも、失敗の許される場であることは大切なのだろうと思います。成功の後ろにはたくさんの失敗があるし、失敗を恐れなければ成功するまでがんばれますからね。

もしかすると、本来発表会というものは、お客様に音楽を届けることを考えて、失礼のない演奏が出来るように練習を重ねることで、成長していくものかもしれません。そういう意味では、大分緩い発表会なのだろうとも思います。(ちょっと変わっているのかもしれませんね、笑。)確かに、真剣に練習したり演奏したりしないのは失礼だと思いますが、何に対して失礼かというと、出来るのにやらない自分に対して失礼なのではないかなという気がしています。

このような考え方で行う発表会ですから、「励ます人」の存在はとても大きいのです。客席のお客様は、発表会というパフォーマンスの中で、なくてはならない役割を担っている参加者です。いつも当たり前のようにどの生徒さんの演奏も温かく見守ってくださる保護者の皆様には感謝してもしきれません。保護者の皆様のご協力があって初めて成り立つのが、この教室の発表会なのです。

練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう !(^^)!

「自分には出来るという意識を作るために、出来ている所を伝えよう。」2020年2月号

例えばタッチポイントで弾けるようにしたい時、まず伝えることは「タッチポイントとは何か」「どうしたら形が作れるか」なのですが、少し出来てきた生徒さんには、出来ている指を示して「この指が上手だったね」と言います。するとほとんどの生徒さんが、他の指にも気を付けてきれいな形で飛行とし始めます。出来ていない指を注意するより。出来ている指を「出来たね」という方が効果的なのが、面白いですね。

これは、ほめられて嬉しくて気持ちが前向きになるからなのだと思いますが、もう一つ、自分では気づいていなかった「出来ていた所」を示されることで、「自分には出来る」という気持ちのスイッチみたいなものが入るからかもしれないとも思います。出来ると思えばやってみようと思えるし、やってみれば、すぐに完ぺきとまではいかなくても、出来る方向に進み始めますね。

そんな経験から、毎日練習を続けるための大人のサポートで大切なのは、出来ている所を見つけることかもしれないと思います。「声をかけたらすぐに弾いた」「その時はやらなかったけれど、おやつを食べたら練習した」など。毎日の何気ないことでも、「出来たね」と伝えることで、「自分は練習出来る子だ」という意識を作ることになるのかもしれません。「自分で音符を読もうとした」「注意するところに気を付けようとした」などは、集中していないとできないことですから、一歩踏み込んだ立派な練習が出来ていることを伝えてあげたいです。

もし「自分は出来る子だ」という意識を持ってピアノに取り組み続けることが出来れば、当然上達していきますし、その過程で培われる自信や集中力は、ピアノ以外のこともがんばれる力になるのだろうと思います。

練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!

「その子にとって心地よいピアノとの付き合い方。」2020年3月号

私はピアノの先生として、そこそこ長く音楽と付き合っていますから、音楽を聴いて美しいと感じる基準みたいなものを持っていると思います。フレーズがつながっていないゴツゴツした弾き方は美しくないと思うし、指の都合で音量にばらつきが出ていれば直したくなります。何かを感じて表現しようとしている弾き方はすぐにわかるので、より美しく表現できるように、その内容やテクニックを教えたり考えたりするのはとても楽しい時間です。

でも、それは私の求めるものであって、今のその子が求めているものとは違うこともあるのですよね。音楽の美しさ云々以前に、1曲ずつ丸をもらって先に進むことで達成感を積み重ねたい場合もあるし、うまくできなくてパニックになる自分を乗り越えることが、潜在的に求めているものである場合もあります。勉強などで忙しくて、ピアノを弾いてリフレッシュしたいときに求めるものは、すぐに弾ける曲をただただ弾くことかもしれません。どれも、その時のその子にとって大切なことですから、尊重しなければならないと思います。

ピアノを教えるということは、音楽の美しさの基準みたいなものをも含めた、ピアノの文化を伝えることです。ですから、私に感じられるものは全て伝えたいし、今伝えられなくても、伝えられる土壌を作るレッスンをしたいと思います。けれども、どんな音楽とどんな風に付き合うことが今の自分にとって心地よいかは千差万別なのだということも、いつも分かっていようと思っています。

音楽の美しさを追及するのは、ものすごく奥深い至福の時間ですが、一方で、人の基準は横に置いて、自分にとって心地よい音楽との付き合い方をしていくことも、やはり楽しいのですよね。

生徒さんたちがピアノに触れることで心地よく過ごして、もしかしたらその時間を通して自分を成長させていけるなら、やはり私はそういう音楽との付き合い方も、大切にしていきたいと思います。(もちろん私の感じる美しさは、折に触れて伝えながら、ですけど。)

練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!

「困難な時でも人生を楽しむ力」2020年4月号

いきなり学校がお休みになったりと、戸惑うことの多かったの時期。子どもたちも保護者の皆様も、大変な毎日をお過ごしのことと思います。教室も、少しお休みをさせていただきました。世界中が困難に見舞われる状況の中ではありますが、個人の努力の集積がきっと事態を収束させると思いますので、教室として出来る対策はしていきたいと思います。

このような毎日を過ごす中で、困難な時でも楽しみを見つけて明るく過ごす意志の大切さを、改めて感じています。フランクルの『夜と霧』ではありませんが困難にあっても希望を見出して生きていく力を、子どもたちに育てたいですね。

ここはピアノ教室ですから、まずは音楽を教えること。音楽のある人生を歩めるということは、外出が難しくても例えばピアノを弾いて楽しめるということでもあるし、音楽に没頭して充実した時間を過ごせるということでもあるし、楽しいリズムや美しいメロディーに感動して心を癒せるということでもあります。音楽の持つ力は大きくて、ピアノを習うということは、人生を深く楽しむ一つの手段を手に入れることでもあるのだと思っています。

そしてもう一つ、ピアノを学ぶ中で少しずつ自分への信頼を確立していく過程は、何があっても自分を大切に、前向きに生きていこうという意志も、同時に育てているような気がします。自分が好きで信頼しているからこそ、自分を幸せにしようとする意志を保ち続けられるのですよね。

毎日の練習は、困難と気でも人生を楽しむ力をきっと育てているはずです。

練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう !(^^)!

「今だから出来ることに目を向けて成長を続ける意欲」2020年5月号

緊急事態宣言を受けて始めたオンラインレッスンですが、思いの外良い面があって驚いています。

レッスンの後もそのままピアノの前にいることが出来るので、何を習ったかすぐに振り返ることが出来ますし、ご家族の方にレッスンの様子を感じていただけたり、励ましていただけたりするのも、良い点ですね。それに、手取り足取り教えてあげられない分、生徒さんが自分で考えたり、質問したり、書き込んだりといった、積極的な関わりをせざるを得ないので、レッスンがより自分事になるようです。ずっとカメラの前で、弾いたり聞いたりやり取りしたりするレッスンですから、いつも以上に集中力を発揮する生徒さんも多いです。

これまで当たり前だったことが出来ない時期には、落ち込むこともできますが、今だから出来ることにに目を向けて楽しむこともできるのだと、画面越しの生徒さんたちの姿を見ながら実感しています。大変な時期だからこそ、前を向いて、色々な挑戦を楽しみながら成長を続ける意欲が大切で、当たり前のようにそういう力を発揮している子どもたちの姿に励まされることも多いです。子どもたちは、生きてそこにいてくれるだけで十分に嬉しくてありがたい存在なのだと、こういう時期には余計に感じますね。ピアノの練習を続けることが、不自由なことも多い生活の中に、程よい緊張感と充実感を作っていたら良いなと思います。

練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう !(^^)!

「その子をかわいいと感じ続けていること」2020年6月号

子どもたちがピアノを習い始める時、なわとびが跳べるようになりたいのと同じような感覚で、ピ アノが弾けるようになりたいと思っているのではないかと思います。でもいざ始めてみると、思っ ていたほど簡単ではないと気づいて愕然とする、ということもありますね。ピアノは、自由に好き なように鍵盤を叩けばよいのではなくて、規則に則って指を動かさなければなりませんから、ある 意味不自由な所から始めなければなりません。自分ではできていると思っているのに直されたり、 難しいことをやるように言われたりと、不満を感じることもあるのだろうと思います。

そういう時に、周りの大人に励ましてもらいながら練習を繰り返すことができれば、すぐには出来 なくてもだんだん出来るようになる体験をして、ここを乗り越えることが出来ます。

けれども、周りがどんなに励ましても、出来ない自分を見るのは絶対に嫌!という場合もあります ね。子どもにもプライドがありますから、そういう気持ちも分かる気がします。どうしても嫌なの にピアノに固執する必要はありませんが、出来ることなら、「ピアノが出来ない自分」みたいなイメ ージを持ったままピアノから離れてほしくはありませんね。

ではどうしたら良いのかと考えた時、万能の処方箋は思いつきませんが、少なくともその子をかわ いいと感じる気持ちを持ち続けていようと思っています。かわいいと感じていれば、小さな「出来 た」にも気づくことが出来ますし、ちょっとした反発も微笑ましく見ていることができます。やら なくても出来なくてもかわいいと感じ続けていることで、子どもの気持ちが、 「出来ないかもしれな いけど、やってみよう」という風に変化してくれたらいいなと、願っています。

練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)! 

「弾きにくい所は、レッスンでどんどん質問しましょう」2020年7月号

いつも弾きにくく感じる所や間違えてしまう所って、ありますよね。練習不足や不注意の場合もありますが、弾きにくさに理由がある場合もあります。例えば、不自然な指使いをしていれば当然弾きにくいですし、次の音への準備が出来る前に弾こうとすれば、間違えやすくなります。弾きにくい原因をそのままにしてやみくもに練習を続けるよりも、アドバイスをもらった方がストレスを感じる時間が短くてすみますから、そういう場所があれば、レッスンの時に自分からどんどん質問してくださいね。

出来ない部分について自分から質問できるのは、積極的にピアノに向かう姿勢の表れです。それなら、質問することを通して、そういう姿勢を育んでいくこともできるのかもしれません。自分のピアノを自分で成長させる喜びを感じることが出来たら、ピアノはもちろん上達するし、もっと自分を好きになることも、出来るのではないかなと思います。

練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!、

 

「全力で取り組むことも力を抜くことも、素晴らしい。」2020年8月号

今年の発表会はYouTubeで行うこともあって、例年ほどの熱意を持った練習をしなかったという生徒さんもいることと思います。

舞台に立つのはそれだけでも緊張するものですし、ましてそこで1回きりの演奏をするとなると、「弾ける」のレベルを一段引き上げなければなりません。緊張感の中でも最後まで弾き切るためには、全ての音やテクニックや表現を体でも頭でも理解しなければなりませんし、そのためには集中してたくさん練習を繰り返す必要があります。それに比べて、動画はやはり気楽ですから、舞台の場合と同じ緊張感を持った練習をしないのも、当たり前のことかもしれませんね。

けれども、それなら動画には舞台ほどの意味はないのだと思ってしまうのも、ちょっと面白くありません。せっかく動画で発表をするなら、そこにも意味を見つけておきたいですね。たとえば、生徒さんたちが大人になった時に、ピアノサークルなどに入って舞台での演奏をし続けている人はそんなに多くないと思いますが、自分限定の動画をアップしたりして楽しみ続けることは難しくないと思います。また、舞台での演奏が100%の力を出し切るものだとしたら、80%くらいでもこれ位は弾けるという目安にもなりますね。常に全力というのも疲れますから、適度な力の出し方でピアノを演奏する経験も、良いのではないかとも思います。

一方で、動画での発表でも、いつも以上に練習を重ねた生徒さんたちもいました。おそらくその生徒さんたちは、演奏のクオリティーを上げること自体に集中していたのではないかと思います。「人からどう見えるか」ではなく、「自分はどう弾きたいのか」を軸にすると、発表の仕方によって練習への熱意が変わることはないのかもしれません。

とはいえ、状況によってピアノとの関わり方が変わるのは当たり前のことですし、その時の自分にとって心地よいピアノとの関わり方を見つけることは、大切なことだと思います。全力で取り組むことも素晴らしいし、力を抜くことを覚えるのも素晴らしいです。色々な状況の中で様々な経験をしながら、ピアノのある人生を楽しめる人に成長してくれたらいいなと思います。

練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!、